2022~23シフトチャレンジの結果を発表するにあたり、DeepSeaは船会社に向けてAIベンチマーキングツールについて検討するための無料エントリーポイントの提供を発表

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アワードも受賞している、AIによる海事技術会社でありエネルギー効率化のエキスパートであるDeepSea Technologiesは、フルセットの船舶データとDeepSeaの自動モデル評価ツールを12か月間無料で海運業界に提供すると発表しました。 そのようなツールを公開するのは初めてのことです。これにより、高いデータ分析能力を備えた革新、研究、技術といった部門がAIの検討を始めることができるようになります。

この発表は、2023シフトチャレンジの受賞者の発表に続いて行なわれました。 このコンペティションは、ケンブリッジ大学などを含む産学の研究者の国際的な共同プロジェクトで、海運業をAI研究において第一級オブジェクトにする手助けとなるものです。

全体で、シフトチャレンジは175の企業や教育機関の研究チームや研究者が参加しました。 焦点になったテーマは船舶の動力予想と白質多発性硬化症の2つでした。 シッピングトラックで受賞したのはIBMダブリンのチームで、風力発電セクターでの学習を活用して提供されたデータから新しい知見を得るという新しいアプローチを提案しました。 彼らのソリューションは、幅広い条件下で船舶の動力を予想することができ、DeepSeaが基準値として提供した参考モデルに対してパフォーマンスが13%向上しました。

このチャレンジからのフルセットの船舶データが、このたび研究者や海運産業の技術専門家に提供されることになりました。ゼノド(CERNが運営するオープンソースの研究データベース)からアクセスできます。 DeepSeaは、このことが業界全体でのロバストな船舶モデルの開発に役立つことを意図して提供を決めました。これは、業界がコストを削減して環境規制に対処できるようにするために必要不可欠なものです。

シフトチャレンジについてのコメントで、DeepSeaのAIディレクター、ニキタキス博士は次のように述べました:「非常にさまざまなソリューションが応募されたのを見てうれしく思いました。また、このAI環境を海運業界全体に公開できたこともうれしく思っています。わたしたちは常にAIについて誇大広告と戦っています。AIソリューションを検討し評価できるツールを公開すること以上に良い方法はありません。 おそらく、そのうちに、業界のすべてのAIプロバイダーに向けて同様のチャレンジを行なうと思います。皆さんが参加してくれることを願っています」

受賞についてのコメントで、IBMダブリンチームのセシュ・ティルパティ氏は次のように述べました:「分布シフトが生じる条件下でデータを推定するということは、データの急激な増加やリアルタイムの監視への応用の場合、より重要になることが予想されます。この種の研究は、生死にかかわる状況を招くような信頼できない予測を避けることができるので、非常に重要です。シフトチャレンジでは、実際のデータから地上検証データが提供されます。これは、分布シフトやコンセプトドリフトに対してロバストなアルゴリズムの開発や検証にとって不可欠です」

DeepSeaのCEOで共同創業者のコンスタンティノス・キリアコプロス博士は次のように述べました:「AIは、海運セクターではまだ比較的新しい技術ですが、燃費、排出量、業界のレーティングを最適化したいと思っている会社にとっては、かつてないすばらしいツールとしてすでに証明されています。他の最先端の研究分野と同様に、この技術はエコシステムの一部としてのみ発達できます。そして、シフトプロジェクトは(他にもいろいろありますが)この動きを促進しサポートすることを目的としています。産業用AIの分野では、でたらめな情報も多く、何を信じたらいいかを示すことができるのがこのようなイニシャティブなのです」

このチャレンジからのフルセットの船舶データが、業界全体でのロバストな船舶モデルの開発をサポートするため、このたび研究者や海運産業の技術専門家に提供されることになりました。

シフトプロジェクトの背景

シフトプロジェクトは、ケンブリッジ大学、バーゼル大学、ローザンヌ大学、HES-SOバレー校などとDeepSeaによる国際的な取り組みです。 学際的な国際コミュニティーの構築を目的としているこのイニシャティブは、分布シフトを研究しているコア機械学習(ML)研究者と、現実の世界で分布シフトの影響を受けるタスクについて研究している応用ML研究者を結びつけます。

分布シフトの扱いは、すべての業界におけるAIの普及や効果を妨げる最大の障害の1つです。 特に海運業ではそうで、世界トップクラスのエキスパートが協力してその解決策を探っています。 海運は、このコンペティションの2つのテーマのうちの1つでした。もう1つは、慢性疾患である多発性硬化症の治療における分布シフトです。

船体汚染によって船舶全体のデータが時間とともに変わるというのが、海運における分布シフトの例です。 海洋での汚染は、海中に沈んでいるもの、とりわけ船体に微生物が付着することが原因です。 これは、さまざまな運航上の効率低下につながり、船の燃料消費量、排出量、CIIに大きく影響するので、船舶データを使ってこの影響をどう予測するか理解することは、業界にとって極めて重要になります。 船舶の全データが時間とともにどのように変わるのか理解することは、海運のもつ脱炭素化の大いなる潜在能力を引き出し燃料の無駄を極力抑える上で鍵となる船の正確なモデルづくりにとって極めて重要なことです。

IBMダブリンチームについて

ダブリンのIBM Researchには、時系列予報、漸進的機械学習の他、連合学習や差分プライバシーといったセキュリティ・プライバシー強化技術など異なる分野に取り組んでいるデータサイエンティストとAI研究者がいます。 このチームが、分布シフトや、実際の重要な場面におけるロバストネス・不確実性の予想という課題を解決するために一体となったのです。