船舶のパフォーマンスモニタリングの概論

  • Insights

運航効率の改善とCO2排出量の削減は、海運業界の主要課題を代表するものです。 このため、海運会社は、各社の政策や優先順位に応じて、船舶のパフォーマンスとCO2排出量をこまめに監視し、得られたデータを様々な方法と形式で報告することが求められます。 しかしながら、船の乗組員が、数あるデータソースの中からヌーンレポート、船上設置のセンサー、そしてAIS(船舶自動識別装置)をデータソースとして選んで重要データを手作業でかき集め、そのデータをスプレッドシートに入力して分析や報告を行うというのは、時間のかかる作業であり、同時に人為的ミスを犯しがちな作業でもあります。 構造化されていない情報は、得てして理解や分析が困難であるため、乗組員や主な利害関係者が船舶のパフォーマンスを解読し、評価し、予測することを難しくします。 データの正確な分析とタイムリーな報告は、非効率箇所をピンポイントで特定し、迅速な意思決定につながると共に、最終的には、会社が持続可能性の目標を達成するのに貢献します。

測定しないものを改善することはできません

主要業績評価指標(KPI)は、典型的な測定手法で意思決定の際の貴重なツールとして機能します。 海運会社ごとにアプローチは多少異なるものの、今や標準的な実践法となった一連の主要なKPIがあります。 効率的で持続可能な運航に責任を負っている海運組織とその担当責任者は、船舶とフリートのパフォーマンスを基準に従って評価し、環境への影響を追跡して採用した対策の有効性を評価するために、これらの主要指標を監視しています。 その成果の一例として、Maersk Line社は、各船舶のパフォーマンスを3年間測定することで、約16万トンの燃料と9,000万ドルのエネルギーコストを節約しました。

船舶のパフォーマンスモニタリングとエネルギー効率:海運の重要な役割

海運業界のネットゼロカーボンに向けた使命は、エネルギー効率、とりわけ基本的な順守要件を網羅する就航船のエネルギー効率指標(EEXI)、エネルギー効率運航指標(EEOI)、および炭素強度指標(CII)に焦点を当てた新しい重要な役割を組織内に確立するよう、益々海運組織に圧力を加えています。 この多面的な役割を担当することを指名された責任者は、率先してエネルギー効率の改善に取り組まなければなりません。 何よりも直ぐに手を付けなければならない作業には、船舶のベンチマーキングやフリートの効率の把握、改善、および報告の他、高い安全基準を損なうことなくスケジュールと予算を確実に合理化するために運航を最適化することが含まれます。

全ての海運組織が監視すべきエネルギー効率のKPI

未だにデジタル変革プログラムを実施していない海運組織の場合、船舶効率の改善、費用対効果の高い対策の実践方法の確立とその成果の評価といった基本的な要件を満たすだけでも気が遠くなるような作業になる可能性があります。 継続的に監視することが必要とされる指標となるものは、現在の気象や船体汚染の状態に配慮して運航航路を決定すること、燃料消費量を監視すること、船舶が規制を遵守していること確認すること、保守要件の変遷を記録すること、および船舶のパフォーマンスが低下していないか関係者に通知することなどが挙げられます。

外洋航行船舶は、汚染物質を大気中に排出し、その一部の物質は、世界で大きな懸念となっています。 主な3つの汚染物質は、窒素酸化物 (NOx)、硫黄酸化物 (SOx) および二酸化炭素 (CO2 ) です。 事実、世界の二酸化炭素排出量の3%以上が外洋航行船舶に起因するとみられています。 別の見方をすると、世界の海運業を纏めて一つの国家だとすると、世界で6番目の温室効果ガス排出大国となるでしょう。

以下は、いつでも御社の船舶とフリートの効率の全体像を把握し、運行上の課題を特定し対処できる指標を必須(但し、完全ではない)リストとして纏めたものです。

  • CO2効率は、船舶のエネルギー効率を表し、排出されるCO2の質量と船舶が輸送に要した仕事量の比で求めます。 これは、通常EEOIとEIVによってモニターされます。
  • フリートのベンチマーキング:海運組織が、自社の各船舶のパフォーマンスと世界のフリートとのパフォーマンスの比較をモニターすることは、各船舶が効率的に運用されているかを理解し、環境への影響を評価し、そこから得られた教訓を他の船舶に適用できる成功事例とするのに役立ちます
  • 船体、メインエンジン、および補助装置の分析:この分析では、他のセンサーデータや運用パラメーターの確認を行うと共に、どの燃料が、どれだけメインエンジン、補助装置、そしてボイラーに供給されているかを示す必要があります。 メインエンジンの性能動向の観察や船体汚染と機械類の効率の監視は、船体の洗浄、プロペラの研磨、機械部品の交換やオーバーホールのような保守の必要性を判断する際の支援となります。
  • 電力 – 速度曲線:電力対速度および燃料対速度の相関を表す曲線は、オペレーターにとって便利なツールです。 これらの曲線を使って、同一条件下での理論値と実測値を比較すれば、船体汚染の問題を特定する際の裏付けとなります。 DeepSeaのCassandraのような高度なシステムでは、この比較を自動的に行うことができます。 このような比較分析は、船舶を適切にモデル化し、気象条件に加えて船体とプロペラ表面の粗度が船舶の電力需要にどの程度影響するかを検討した後でのみ可能になります。
  • 燃料消費量の追跡:燃料消費が船舶の運用経費(OPEX)の最大部分を占めることを考えると、この指標を追跡することは、燃料の過剰使用の可能性を監視するのに役立ちます。 Journal of Ocean Engineering and Science誌に掲載された「On the estimation of ship’s fuel consumption and speed curve: A statistical approach(船舶の燃料消費量対速度曲線の推定:統計的アプローチ)」と題する記事によると、この指標の重要性を認める単純な例を挙げるとすると、年間の運航日数を280日、一日あたりの燃料消費量を50トン/日、燃料価格を400 USD/トンと仮定して、燃料消費量に+5%の誤差が生じた場合、1年間で積算される燃料費の増加分は、280,000 USD/年に上ることが容易に計算できます。即ち、これは、傭船料が770 USD/日高くなることを意味します。 従って、燃料計算での僅かな偏差が、運用コストにおいては、推定値より大幅に高いまたは低い金額として反映され易く、容易に設備の変更を余儀なくされる可能性があります。 DeepSeaのCassandraは、燃料消費量を絶えず予測モデルと比較し、過剰消費を検知すると自動的にユーザーに警告します。
  • ピストンデータの確認:排気ガスからジャケット冷却までの温度を常に監視することは、エンジンの不均衡の特定や各シリンダーで発生している可能性のあるその他の問題の発見につながる可能性があり、長期にわたってエンジンの磨耗や燃料の過剰消費の防止に寄与します。
  • 発電機関の経時的負荷:必要以上の数のエンジンが稼働しているなど、部品の負荷や燃料消費量の増加につながる非効率な発電機関の使用状態を示す兆候がないかチェックします。
  • トリム:トリムが航行中の船舶が必要とする推進エネルギー全体に与える影響は、小さく(2~3%)、一定であるとされていますが、長時間となると大きな節約につながります。 様々なトリムの条件で船舶の挙動をチェックし、積載条件と速度に応じて最適なトリムを見出すことは、船舶の運用パフォーマンスの向上を熱心に追及する人達にとっては、容易に片づけられる仕事です。
  • プロペラの状態:プロペラが汚染されたり、損傷したりすると、忽ち船舶の電力需要が大幅に増加する場合があることは、よく知られています。 従って、作業コストとプロペラの研磨による磨耗がその特性の変化につながりかねないリスクにもかかわらず、オペレーターの多くが定期的なプロペラの研磨を選択しています。 理想的な方法は、プロペラの状態を注意深く観察し、必要な場合にのみ(但し、汚染が見つかった場合は速やかに)研磨作業を実施するやり方です。
  • 気象条件:風速と風力、潮流、および気象条件の変化は、船舶の燃料消費に大きな影響を与えます 船舶の挙動に応じて最適な航路を決定することは、燃料の大幅な節約につながります。 例えば、DeepSeaのPythiaは、あらゆる気象条件の下で、船舶のパフォーマンスに正しく適応するようにカスタマイズされたウェザールーティングプラットフォームです。 強力なAIモデルは、あらゆる天候と船体汚染の状態の下で船舶がどのようなパフォーマンスを発揮するかを正確に理解します。
  • 総合的効果とコスト削減:船舶に変更を加える場合、これらの変更措置がどれ程のコスト節約で組織に寄与したかを目に見える金額という形で評価するために、燃料消費量とCO2排出量が、時間の経過とともにどのように変化したか記録する必要があります。

デジタル変革により順風満帆

海運業界は、組織を最適に運営するための貴重なツールを提供してくれるデジタル変革を推進しています。 デジタル時代において、データは、船主とオペレーターにとって、船舶の性能を向上させてくれる最も有益なツールです。 技術は、既存の非効率性を解消できます。 それは、組織にリアルタイムで正確な洞察を提供し、海運の専門家がその情報に基づいた意思決定を行い、持続可能性のゴールに到達することに貢献します。

船舶性能の最適化

人工知能を活用し、ヌーンレポート、AISおよびライブデータを組み合わせたDeepSeaの 船舶性能監視システムは、海運の専門家が自社の船舶やフリート、そして主要機械類についての理解を深めることを可 能にし、同時にDeepSeaのウェザールーティングプラットフォームは、 如何なる気象と船体汚染の状態の下でも船舶がどのようなパフォーマンスを示すかを正確に理解し、 そのパフォーマンスに正確に合わせてカスタマイズされた航路をプロットすることができます。

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