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海運業における脱炭素化:Eurobulk社マリレーナ・アポストリドウさんとのインタビュー

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海運業におけるサステナビリティと脱炭素化について、Eurobulk社の環境・パフォーマンスコンプライアンスマネージャー、マリレーナ・アポストリドウさんにお話を聞きました。

質問:パフォーマンス・環境コンプライアンスマネージャーというのはどういう役職ですか。

環境コンプライアンスとは、国内および国際的な地球環境に関する規則や法律、規制といった要件を取り入れて実行することです。 環境に関する懸念によって世界中でコンプライアンス基準が厳しくなっていました。 特に海運業界では、規制当局や海事産業の他の利害関係者が海運業における温室効果ガス(GHG)排出量削減にますます力を入れる中、サステナビリティや環境保護に関する規制がどんどん実施されています。

海運規制が急速に進んでいる今、環境保護と、IMOが掲げる目標達成のための対策が一段と厳しくなることで、この役割が極めて重要になっているのです。

環境コンプライアンスマネージャーは、会社の環境パフォーマンスを管理し、会社が環境法や規制に従うようにする責任があります。 会社の現在の業務を評価し環境目標を達成する戦略を立てるのも役割の1つです。 共通する日常業務には、環境監査や評価の実施、環境戦略・方針の作成があります。 役割は、技術や業務部門に関連していて、情報を確認し、必要であれば修正して、現地や国際的な規制に準拠した形式で送信することです。

質問:あなたの役割でもっとも大きな課題は何ですか。

最近、IMOでいくつか重要な決定が採択されました。 これらの決定を考えると、いろいろな疑問がわいてきます。これらの新しい要件を決められた期間内にどうやって管理し実施するのか。 海運業の脱炭素化目標にどんな影響があるか。 期限を延ばす必要があるか。 現在の制約の中で、これらの規制をポートステートコントロールでどのように実施するか。 規制当局は、「ニューノーマル」をどのようどのように進めていくのか。

常に遅れを取るという悪循環にはまってしまったような気がすることもありますが、やり遂げなければならないのです。

いろいろな意味で、環境コンプライアンスを管理することは、動く標的を打とうとしているようなものです。しかも、著しい時間的制約の中、プレッシャーを感じながら、です。 規制は絶えず変化していますが、期限は待ったなしです。 今日、船会社にとって、そして業界全体にとっての主な課題はこれら新しい規制の履行に関連しています。

質問:Eurobulkのサステナビリティ戦略はどんなものですか。 どんなことを達成しようとしていますか。

わたしたちは環境を守ることに全力を注いでいます。そしてこのことは、弊社の環境保護・安全・品質方針に反映されています。 わたしたちの業務が大気環境や海洋環境に及ぼす影響を最小限に抑えようと努力しています。

この方針をサポートするために、環境管理システムをつくり、HSEQ(衛生・安全・環境・品質)マニュアルに組み込んで、弊社の目的、行動計画、戦略的大望、各期限を明確にしています。それらはすべて海洋環境への悪影響を減らすことを目指しています。

さらに、最近、環境に関する課題や関連する規制に従う必要性について対応するコンプライアンス部を創設しました。 この部署は、IMOの発表、新しい規制、市場の進展、技術の向上をすべて常に把握するようにしています。 また、新しい規制、予定されている規制、環境課題、船のパフォーマンスや設計にどう影響するか、業務に支障をきたすことなく順守を確実にするために何をする必要があるか、絶えず従業員の教育を行なっています。

Eurobulkでは、目標達成のためにどんな対策を講じていますか。

Eurobulkは、2012年から、環境への取り組みをサポートし、乗組員や海岸勤務スタッフの研修などを実施するコミュニティーに参加する目的で、ギリシャ海洋環境保護協会(HELMEPA)に加盟しています。

わたしたちが優先しているのは、弊社の船の機関から排出するCO2、NOx、PMの量を最小限に抑え、バラスト水管理設備を船に搭載することで、水性生物の越境移動を減らすことです。 いろいろな計画がありますが、最近、新たに造船したり古い船を新しいエコな船に換えたりすることで、弊社のフリートを最新でより効率的なトン数に刷新する計画を始めました。 わたしたちの目標を達成して、国連の2030アジェンダのSDG目標13や、炭素強度引き下げを目指すIMOの温室効果ガス戦略に貢献するとことができると確信しています。

要するに、海里あたりの排出量を削減するどんな行動も船のレーティングを上げることになるということです。 この目標をどう達成するか考えるときは、技術と業務の両面の向上を考慮すべきです。

エネルギー効率、船やフリートのパフォーマンスといった目標達成にテクノロジーはどのように助けになりますか。

フリートのパフォーマンスや排出量を正確に監視するため、複数のパフォーマンスソフトウェアモジュールを導入しました。同時に専門チームがそれらの有効性を評価しました。

弊社の船のほとんどは、デジタル質量流量計を装備しており、高頻度データ収集用遠隔計測装置も徐々に設置しています。この装置により、フリートの燃料消費量監視が向上し全体のデジタル化も進みます。 この部分でDeepSeaにお手伝いいただいています。DeepSeaは、人工知能を使った船舶パフォーマンス監視と最適化を専門としており、私たちの船舶データの収集と分析に適切な装置を提供してくれます。 DeepSea製品を用いて、船のパフォーマンスを監視し、排出量を計算し、各船舶の実際の状態と設計値をリアルタイムで比較しています。 各船舶のパフォーマンスと燃料消費傾向を監視し、タイムリーな船体クリーニングを行なうことは、CIIを抑える1つの方法です。

さらに、わたしたちは、サステナビリティ・ジャーニーを続け、海運業の脱炭素化における自分たちの役割を果たすことに全力を尽くしています。 エネルギー効率化技術は今後もこのミッションにおいて重要な役割をに担うでしょう。わたしたちは、DeepSeaとさらに密接に連携することで、弊社フリートの燃料節約と排出量削減につながるだけでなく、サステナブルな成長が中長期的にわれわれの利害関係者にとって付加価値を生むと思っています。

質問:ROIや成功はどう測るのですか。

船舶改善プロジェクトの影響を監視するために、定性、定量両方のKPIを使っています。 定量的なKPIについては、船のパフォーマンスは常に時間に対して考えます。すなわち、それまでの四半期または同様の区間のパフォーマンスに対してです。 燃料消費量、CO2排出量、速度性能の改善が、現状を表す重要な指標になります。 質的な側面に関する限りは、人間が介入せずに船舶を遠隔で完全に監視することができれば、パフォーマンスマネージャーやオペレーター、監督者がすぐに問題を特定し解決することができます。 たとえば、発電機関の負荷が適切で、均等な時間配分で使用されているかを知ることができます。 これにより、オーバーホールの予定が立てやすくなります。 確かに、「パフォーマンス」は船体汚染を監視すればいいだけではありません。

サステナビリティ戦略は一元的なものではなく、さまざまな視点が必要です。 現在と未来両方の課題を考慮する必要があります。

質問:環境とパフォーマンスのコンプライアンスは経営陣だけの問題でしょうか、それとも全員が何らかの役割を果たすべきでしょうか。 どのように?

「グリーン海運」は、海運業界のサステナブルな開発の概念です。これには環境と社会両方への責任を含みます。 環境とパフォーマンスのコンプライアンスは、確かに、経営陣だけに関係するわけではありませんが、そこから始まるのも確かです。 環境・パフォーマンスコンプライアンスのためのロードマップは6つの分野に分かれます。海洋、コミュニティー、人々、透明性、財政、エネルギーです。これらにはそれぞれの目的、望ましい結果、相互に関連する節目があります。

長期的なサステナビリティを実現するには、会社は継続的に自分たちの船舶の環境パフォーマンスの向上を図り最新の規制に準拠するようにしなければならないとわたしたちは思っています。 これには、この新時代のコンプライアンスの実現に必要な情報すべてを収集・維持するため、異なる部署間や、そしてもちろん海岸勤務スタッフと乗組員間の協力が必要です。 自分の役職において、環境保全に対する責任を果たしながら、弊社のフリートが環境に関する目的を達成できるようベストを尽くしています。

これを達成するため、パフォーマンス・環境コンプライアンス部は年間を通して一連の研修を行なっています。 わたしたちは、経時なデータを収集し、3ヶ月ごとに船舶から収集したすべての情報を確認します。 そして、結果を提出する前に、関係部署と会議を開きます。 環境コンプライアンスの全過程を通して、船長と機関長も係るようにして、IMOからの新しい課題や要求について正しく認識し責任をもつことの重要性を彼らが理解する手助けをしています。

いろいろな意味で、環境コンプライアンスを管理することは、動く標的を打とうとしているようなものです。しかも、著しい時間的制約の中、プレッシャーを感じながら、です。 規制は絶えず変化していますが、期限は待ったなしです。

質問:サステナビリティ戦略の設定についてあなたと同じ役職の人にどんなアドバイスをしますか。

サステナビリティ戦略は一元的なものではなく、さまざまな視点が必要です。 現在と未来両方の課題を考慮する必要があります。

2050年までに早急に脱炭素化する必要性、金銭的利害関係者からの監視とプレッシャーの増大、世界中の船員が直面する労働と人権のリスク(乗組員交代をめぐる危機によって浮き彫りになった)、これらすべてを考慮に入れなければなりません。

環境コンプライアンスに特効薬はありません。 船主や運航会社は船の種類や規模、フリートによってそれぞれ異なる方法や解決法を考えなければならないことが少なくありません。 これらすべての課題に対処するには、チームワークと協力、利害関係者との連携、エネルギーが必要です。

新しい技術の進歩がさらなるコンプライアンスの選択肢をもたらす中、船主や運航会社は土の解決策が自分たちのビジネスにとって最も理にかなうのか慎重に評価する必要があります。 どの技術を選ぶにしろ、フリート全体で効率が目に見えて上がるものでなければなりません。

さらに、船主、造船会社、運航会社は、環境に関する多くの地域、国内、国際基準を把握し、これら要件が海上輸送に及ぼす影響を理解しなければなりません。 燃料消費量の正確な報告、評価、監視が、今、最も重要です。 最適化と正確な監視によって、事業者として競争力を最大限に高めると同時に船のレーティングを上げることができるのです。 年間平均燃費実績も、競争優位性に直接影響します。 高評価(AとB)の船舶は、ビジネス上のメリットが得られる可能性があります。 中間のC評価は、必須のCIIを表し、事実上、規制と市場において許容される基準値にあるということです。 D評価とE評価の船舶は、基準を満たし市場で生き残りたければ、早急に改善したことを示し、着実にC評価に近づけていかなければなりません。